まさかとは思いますが、金型の仕事をしている人で安全靴を履いていない人はいないですよね?
職場で決まっているので嫌々履いている人もいるかもしれませんが、重さ50kgの鉄ブロックに勝てますか? 勝てるんなら、いいんですけど。
・・・いや、もし勝てる人でも安全靴は履かなくてはならないんです。
でも安全靴って疲れますよね。重いし、痛いし、臭くなるし・・・
それを一日中履いているんですもんね。
昔は硬いゴムに丈夫な鉄の先芯のついた黒一色のものしかありませんでした。
でも今は、いろいろな素材のものが用意されています。バイクに乗る方も使われていますね。
スポンサーリンク
重い、痛い、臭いは、こうやって解決しよう
ちょっと予算を上げれば、快適性は格段に上がります。
一日8時間以上履いているのですから、人生の大半を共に過ごすわけですよね?
お金をかけるだけの値打ちはあると思います。
また安いモデルについては、現場で見ているとソールがすぐに剥がれてくる物が多いように思います。¥6,000以上のしっかりした物を買われた方が、結局安上がりではないかと感じています。
重くない安全靴
JIS-S種、JSAA-A種の中で最軽量は、プロテクティブスニーカーになりますね。
XEBECさんやミズノさん辺りが700gを切る軽量モデルを用意されています。
表皮が合成皮革やメッシュ素材で、先芯が樹脂だと軽くなります。
牛革のモデルだとソールがポリウレタンでも 、850g程度になってしまいますね。
ただ、JISやJSAAの規格の認定を受けていないものもあるので、購入される時には注意してください。
規格に合っていないと、職場によっては認められない可能性がありますよ。
昔ながらのソールが硬いソリッドゴムの物を選ばなければ、それほど大差ないのではないでしょうか。
痛くない安全靴
安全靴が痛い原因。
- 先芯の内側に小指が当たる
- 足の裏にフィットしなくて痛くなる
- 縁に擦れて、くるぶしなどが痛くなる
などがあると思います。
安全靴も各社コンフォート性を謳ったシリーズを用意されています。
履き心地なら、やっぱりアシックスさんでしょうか。
少し高価ですが、それだけのことはあります。ミズノさんもよさそうです。
¥8,000以上はしますが、買って損はないと思いますよ。
臭くない安全靴は無いけど、こうすればOK
残念ですが、臭くならない靴は無いと思います。
じゃあ希望は無いのかと言うと、そんなことはありません。
僕はこんな方法で対策しています。5年前から行っていて、効果を実感しています。
”個人の感想です”というレベルよりは確かかなと思います。
靴下を履く前の素足をデオドラントシートで拭いておくんです。
滅菌や銀イオン、または柿渋などで臭い対策されているものがおすすめ。
朝拭いておくと、ほぼ夕方まで臭いがかなり軽減されています。
靴にも臭いが移り難いですね。安全靴だけでなく、通勤に履いている靴も臭くなっていません。
僕が今使っているのはこれ、メンズビオレのシートです。
以前はシトラスの香りが強いタイプもラインナップされていました。
これが良かったのですが、なくなってしまったので今はPawerWashタイプです。
ちょっと贅沢な臭い対策
こんなこと聞いたことありませんか?
通学/通勤用の靴は3セット用意して、日替わりで使えは不潔にならない。
2日間履かずに放置しておけば、水分が蒸発して雑菌が繁殖しにくいということのようです。
ですから、3足買ってローテーションしましょう。・・・かなり贅沢ですね。
やってみようと思ったんですが、さすがに3足は買えなかったので2足を交互に履いています。
確かに湿っぽくなっていません。そのおかげか臭くもないですね。
スポンサーリンク
耐久性重視なら、発泡ゴム底がおすすめ(実感)
履き心地最優先で選ぶのでしたら、アシックスなどのプロテクティブスニーカーがおすすめです。
でも安全性を極めるのなら、やっぱり安全靴です。
それもソール(靴底)がゴムで作られている物が、電気を通しにくくて安全。
鉄を削ったときに床に散らばる切粉を踏んでも刺さり難いので、割れの切っ掛けになる切れ目が出来難いです。
ゴム製の中でも、発泡ゴムを選べば履き心地も問題ありません。
柔らかいです。
(比べれば発泡ポリウレタンの方が柔らかいですが・・・)
一度使ってみてください。
ミドリ安全さんのラバーテックシリーズか、ドンケルさんのR2シリーズになりますね。
発泡ゴムは、ミドリ安全さんかドンケルさん
何年か前に菅田将暉君がドラマでドンケルさんの安全靴を履いていたとか。R2ではなかったそうですが。
聞くところによると関連がある会社同士とか。
そういえば、ドンケルさんのR2というかコマンドと、ミドリさんのRT910の靴裏のデザインがそっくりなんですよね。同じ金型?
僕の履いているRT712Nは、ミドリさん独自のデザインです。
ソールの素材は、ゴムかポリウレタンです
大昔は、硬くて重いゴム製でした。
若い人は見たこともないかもしれません。全然柔軟性もなくて、足が痛かったのを憶えています。
就職して職場で購入した安全靴は、柔らかでゴムとは大違いで感動したものです。
おそらく発泡ポリウレタン製だったと思います。
近年までずっと、この発泡ポリウレタン製を買い続けていました。
会社においてあるカタログからなので、ミドリ安全さんのエコスペックやハイベルデが多かったように思います。
あなたも特殊な業種でなければ 発泡ポリウレタン を履いておられるのではないでしょうか。
でもある日、カタログの中でラバーテックというモデルを見つけました。
元々、タイヤに凝るタイプなので(ゴムフェチ?)、迷わず注文してしまいました。
ゴム製なのですが、発泡なんですね。軽くて柔らかいとのこと。
発泡ゴムのおすすめポイント
- 1100℃の炎を近づけても燃えない、溶けない!
- 軽い
- 柔らかく、クッション性が良い
1番の耐熱性は金型の仕事をしている限りは全く関係ないですが、2番と3番は疲労感に大きく影響しますね。
もっとも、この2点については発泡ポリウレタンの方が上と感じます。
クッション性が良いについては確かに発泡ポリウレタンが上なのですが、柔らかいの種類がちょっと違うんです。
この写真のようにグニュッと曲げても平気なんです。割れたりしません。
ゴムなので鉄の切粉を踏んでも刺さり難いです。
割れの切っ掛けが出来難いんです。
しゃがんで作業することが多いと割れてきたりしませんか?
発泡ポリウレタンは加水分解することもあって、弾力が徐々に低下してきます。
ある日突然パックリと割れますね。
ゴムはこれが起こり難いです。
使い初めてから4年近く経ちますが、全くその兆候はありません。
実際に僕が履いている靴の裏側です。割れの切っ掛けになりそうな傷はないでしょ?
さすがに、かかと側はすり減ってきました。
仕事中は絶対に安全靴等を履いてください
金型の仕事をしていると、重いものを落としてしまうことはあると思います。
僕もあわや、と思ったことが何回もあります。
(何十回かも。 忘れている?)
- 細長く背の高い金型を分解していて、取付板を倒してしまう
- 型板から入れ子を抜いていて、抜けたとたんにバランスを崩す
- プレートが邪魔なのでずらせたら、向こう側にあったブロックが落ちてしまう
- クレーン操作に夢中で、気付かずに自分の足上に金型を降ろしてしまう
- 重なった木製パレットから1枚を引き抜くときに、足の上に落としてしまう
・・・などなど数え上げたら、切りがありません。
ミスをしない自信に満ち溢れた方もおられるでしょうが、隣の人が落とすかも知れません。
疲れていたり、寝不足だったり。
油で温調している金型なんかは、全体がべたべたなのでよく滑りますよね。
慎重に作業していても、落としそうになります。
一番大事なのは自分でしょ?
痛いと思いますよ
いやでしょ? 痛いの。
好きな人はいませんよね。好きならいいんですけど。
でも治るまでは、しばらく不便な生活を強いられます。スポーツはできませんし、車の運転もできません。
階段を降りるのは、怖いですよ。
風呂入れずに、臭いで周りから人が遠ざかってしまう事態にも。
まあ、碌なことはありません。
職場での評価が下がるかも
仕事中に怪我をすると、上司に迷惑がかかります。
労働災害になりますので、会社の総務部などに詳しい報告書を作って連絡しなければなりません。
管理に不備があったということなので、再発防止の対策書も必要になるでしょう。
何度も起こしてしまうようなら、あなた自身の評価も下がる事態になりかねません。
法律で義務付けられています
安全靴を履くこと、履かせることが義務付けられています。
会社に決まりがあるのは、法律で決められているからなのですね。
あなた(労働者)に向けた法律
労働安全衛生規則第558条2項で決められています。
労働者は、定められた履き物の使用を命じられたときは、当該履き物を使用しなければならない。
履くことは、義務になります。
会社(使用者)に向けた法律
労働安全衛生規則第558条1項になります。
作業中の労働者に、通路等の構造又は当該作業の状態に応じて、安全靴又はその他の適当な履物を定め、当該履物を使用させなければならない。
支給義務がありますので、業務で使用する安全靴は基本的には会社が負担しなければならないことになります。
・・・でも支給されていませんよね?
労働基準法第89条に基づいて就業規則に『合理的な労働条件』を定めていれば、会社は労働者に自己負担を求めることができます。
『合理的な労働条件』 とは、労働後にそのまま履いて帰ることができる。
どんな靴でも良いわけではありません
「事業者は、危険が予見される業務であれば、事故防止の為に労働者に安全靴を履かせる事」と定められています。
仕事の内容によって、靴の種類を社内規定等で決める必要があります。
多くの職場では国家規格のJISに合格した安全靴を指定されていると思います。会社によってはJSAA規格のプロテクティブスニーカーでも着用可になっているかもしれません。
必ず規格の物を使用しましょう。
規格外の靴を使用して事故を起こした場合は、大きな問題になることが考えられます。
そもそも安全靴とは?
厳密な意味での安全靴(黒っぽい色で単色が多い)
安全靴とは
JIS規格に定義されているのは、「主として着用者のつま先を先芯によって防護し、滑り止めを備える靴」というものです。
つま先に鉄やプラスチックの硬いカバーが内蔵されている靴のことです。また、靴底(ソール)がゴムや発泡ウレタンで滑り難いように工夫がされています。
つま先のカバーは先芯といいますが、これの強度には4つのランクがあります。
上からU種、H種、S種、L種です。
従来は3種類でしたが、2020年3月にU種が追加されました。
金型製作の現場では、主にS種を使われるのではないでしょうか。
JIS規格の2020年改訂の説明は、日本安全靴工業会さんに詳しいものがあります。
安全性を確かめる試験の様子は、下記ページがわかり易いです。
なぜ黒っぽい色の単色モデルばかりなのでしょうか?
表面の素材が、規格で下記のように決まられています。
- クラスI 甲被は革製とし、表底その他の材料から作られる靴
- クラスII 総ゴム製(加硫式)又は総高分子製(一体成型式)の靴
革とかゴムになると、どうしても黒色が多くなりますよね。
黒でなくても、茶色とか紺色の地味な色味ですね。
メーカーは最大手といいますか、勤め先を通じて買われる方はミドリ安全製が多いのではないでしょうか。
その他は、シモンや青木安全靴などの専業メーカー製になりますか。
安全スニーカー(カラフルでスポーツブランドもあり)
正確には、プロテクティブスニーカーというそうです。
日本工業規格のJISではなく、公社の日本保安用品協会が定めた規格のJSAAによって認定されています。
JISのS種(普通作業用)に近いA種と、L種(軽作業用)に近いB種の2種類です。
職場の決まりが、JISを指定されているのかJSAAでもOKなのかはきちんと確認をお願いします。
一般的に安全靴よりも、安全スニーカーの方が耐久性は劣るように思います。
スポーティな見た目が重要な方は、絶対にこちらですね。
アシックスやミズノ、ディアドラ。プーマなんてのもありますね。
過去にはアディダスやナイキもあったようですが。
規格の詳細は日本保安用品協会さんのHPに表示されています。
以上、靴選びの参考になればうれしいです。
いくらかのお金で安全が買えるなら安いと思いませんか?
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
スポンサーリンク