金型って錆びますよね。鉄なんだから当たり前。
諦めるしかないのでしょうか? いいえ、完全には無理でも少なくする方法はいくつかあります。
使い方1つで、錆び方も大きく変わってきます。
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1.なぜ錆びる? 原理を知ろう!
ほとんどの金型は鉄製だろうと思います。S45CとかS55C、またはSS400ですよね。
ご存知のように鉄が水で濡れていると錆びます。正確に言うと、水が空気中の酸素を取り込んで化学反応し鉄から電子を奪います。奪われた鉄はプラスイオンになりまして、マイナスイオンになった水と結合します。
そこから水が蒸発すると、鉄と酸素がつながった物が残ります。これが錆びです。
元々、鉄鉱石は錆びの塊なので、自然な姿に帰ったということです。めでたし、めでたし。
・・・では困るので、この化学反応を起こさせなければいいんですね。化学反応は材料がそろっていることで起こり、温度が高いほど速く進みます。10℃上がるごとに2倍以上速くなります。
また、水以外の原因として、化学物質の影響があります。成形している樹脂に含まれる可塑剤などですね。これが金型表面に残っていると、腐食が始まります。外周面などは水が原因の場合がほとんどですが、成形形状部分は可塑剤などが原因となります。
2.今ある金型を錆びさせないためには?
日常の取り扱い
錆の材料は鉄と酸素ですが、仲介役の水が無ければ生まれないってことですね。水に触れさせない、または水に触れる時間を短くしましょう。
・温調回路には、水でなく油を流す。もしくは防錆剤入りの水にする。
(薬剤でなく電解水を使うタイプもあるようです。漏れた場合はどうなんでしょうね?)
・水がかかったら、ウエス等ですぐにふき取る。
・湿気の少ない所で保管する。
・結露を防ぐために、温度変化の少ない所で保管する。
・使い終わったら、パート面側を薬剤で洗浄する。
・温度が下がってからパート面を閉める。
・全体的に薄く油、または防錆剤をかけておく。
(問題なければ、製品形状部も)
・防錆剤が染み出る紙で包んでおく。
・汚れ落とし専用の機械※を導入する。
シボあり品や透明品の外観部品の成形をされているのでしたら、お勧めです。
※ソマックス(株)クリピカエース など
保管や移動の時など
あまり使わない金型や、修理などで移動させる時も気を配る必要があります。
雨漏りで濡らしてしまうなどはもっての外。
ですが、意外に気が付かないのが結露ですね。
温度の差で、空気中の水分が金型の表面に水滴に変わってしまいます。
良くあるのが、冷房の効いた作業場で組み立てた金型を外に持ち出します。
すると、その途端に結露が始まります。
ペットボトル飲料を置いておくと、表面がビチャビチャになるのと同じですね。
カラッと湿度の低い日であれば問題ないですが、雨上がりなどじめじめしていると一発です。
一旦、室内で外と気温の近い所に置いておければ安心です。
また、トラックの濡れた荷台に載せてホロを掛けてしまうのも危険。
中で蒸れてしまいます。
雨が降っていなければ、ホロを開けて走った方が良いのではないでしょうか。
3.これから作る金型はこうしよう!
ポイントは、水濡れと汚れ残りの防止です。
①冷却プラグの接続口は地面側(下面側)だけにし、他は内部で取り廻す。
②なるべくOリングは使わない。(水漏れの原因)
③どうしても漏れやすい部分は、ステンレス系の鋼材を使う。
(STAVAX、S-STAR、HPM38、HPM77など)
④可能であれば形状の角を丸くして、汚れや水分をふき取りやすくする。
⑤上下開きの成形機の場合は、上型側をなるべく平らにする。
(上は見づらいので、拭き残しが多い)
↑冷却パイプのねじ込み部からもよく漏れますね。
水漏れの原因に関して言えば、接続部を減らすことが効果的。
(発生する確率を減らす。)
また、よくあるのが成形が終わってホース類を取り外す時ですね。
外した途端に残圧で水が吹いて、金型にかかってしまうことがあります。
その時に、金型の大切な部分にかからない位置や方向にプラグが設けられていれば安心ですね。
いかがでしたか?
費用がかかる項目もあるのですが、ちょっとした心配りで改善できることも多いと思います。精神論で語るつもりは無いですが、几帳面な方のおられる工場は金型がきれいです。
僕のような面倒くさがりな方は、取り敢えず濡れたらすぐにふき取るところから始めてみるのはどうでしょうか?
1年も続けると、トラブルが減って仕事が楽になってきますよ。
以上、参考になればうれしいです。
最後まで、お読みいただきましてありがとうございました。
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